世界中の笑顔のために・・・人道支援に関わる日々を忘れないでいたい。そして伝えたい。想いのまま綴った日記です。


by emiemi0407
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11月28日Sun UTH訪問

 人がこんなに簡単に死んでしまうものだとは
 知らなかった。

 今日、同じ敷地内に住む日本人のお医者さんに
 UTH(University Teaching Hospital)に連れて行ってもらった。
 UTHはザンビア唯一の巨大な大学病院だ。
 テナントさんのDr.Jは単身ザンビアにやってきて
 このUTHにて外科医をしている。
 今日は彼がここで働く最後の日、というわけで
 見学をさせてもらった。

 UTHは巨大な病院だ。
 広い敷地のなかに
 多くの病棟があり
 日本のODAによって建てられたものもある。(小児科病棟)
 私が担当する救急プロジェクトの救急車の搬送先も
 90%が、ここ、UTHだ。

 規模は大きいが内部事情は最悪だ。
 医者は働かない、
 機材は壊れている、
 医者だけでなくナースも管理部門も
 しっかりと機能していない。
 でも、これでもザンビアが誇る随一の病院だ。

 今日はそののんびりしたシステムのせいで
 尊い命が簡単に奪われてしまった。

 最初に見学させてもらった
 Dr.Jの診療は
 女性の急患だった。
 彼女は道に座っているところバイクにひかれ、
 足を骨折した。
 そして彼女は臨月を迎える妊婦だった。

 私達がベットについたときは
 彼女は声を出して苦しんでいた。
 7:45に運ばれ、
 若いドクターに診断され、
 本来はすぐに産婦人科に連れていかれるべき患者だったが
 産婦人科の医者が
 もっと上のドクターの診断なしで
 患者を連れてきてはいけないと
 診療を拒否した。
 9:55、彼女はベットの上で苦しんでいた。

 すぐにDr.Jは診断を開始。
 しかしうめき声とともに動かなくなった。
 人工呼吸をし
 心臓マッサージを繰り返す。
 しかし、そのまま彼女は息を吹き返さなかった。

 事故での接触によって起こった
 体内の大量出血のため死亡。
 10:10。
 あっという間の出来事だった。

 ついさっきまで彼女は生きていた。
 すぐに病院に運ばれ
 速やかに処置を受け、
 輸血されていれば 
 母体は助かったはずなのに。

 無力感が全身を襲った。
 こんなに簡単に人の命が奪われていいものだろうか?

 Dr.Jはこの病院は腐っている、と言っていた。
 働かない医者、
 偉そうにしているがやる気のないナース、
 雑なアドミニ・・・
 手術の予約をしても
 簡単にすっぽかされるし
 予約できても3ヶ月後だったりする。
 この国で
 致命的な怪我や病気になったら
 それで最後だ。

 病院のシステムを改善する必要もある。
 それだけじゃなくて
 生活習慣も変わっていく必要があると彼は言う。

 子供が火傷をしてくることが多い。
 それは子供を沢山産んで、
 母親の目がすべての子供に届かず
 目を離しているうちに
 大きな釜で料理しているところで子供が火傷をしてしまうからだ。
 
 日本も子沢山だった時代は
 このような子供の患者が多かった。
 でも今は減った。
 その代わりに生活習慣病が生まれたが・・・・
 
 病気のない、怪我のない社会を作り出すことは
 できない。
 けれどせめて、患者として安心できる医療システムがあったら・・・

 今日、亡くなった女性は
 7回目の妊娠、40歳。
 残された子供はどうなってしまうのだろう。
 途方もない無力感に襲われた。
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by emiemi0407 | 2004-11-28 15:58 | Zambia